呪いの書/十字架
先日感想を述べた見城徹さんの『読書という荒野』をただ今読み終わりました。
この本の異様なところは、「読み終わりました。」で終わらせることを許さないという点にあると思います。
「いい本読んだ!頑張れそうだ!」とか、「感動した!しばらく引きずりそうだ!」とか読んだあとに聞き心地の良い一言を呟ける本は数多あるのでしょうが、この本はおそらくそれを許さない。
これを読んで見城徹さんに感想を言う人は相当に緊張するだろうな。
や、直接そんなことをするまでもなく、今こんなふうに感想を書くときにもうその人は呪われている。
本の内容を見る限り見城さんは他人の本を読み、そこに凝縮された生き血を啜って生きながらえてきた読書ヴァンパイア的な方です。
本を読み生き血を啜って反芻して何度も自問自答を重ね、糧にし、生きてきた人だ。
本の中で自己否定、自己検証、自己嫌悪が重要であると述べており、おそらく見城徹はそれを繰り返して生きてきたのだろうと推測されるエピソードが本の中に数多く並んでいます。
だから、自然と読者もその渦に巻き込まれる。
読み終わったあとに、「ああ、いい本だったな。」と思うまでは普通ですが、
「どうだった?」
「なんだそんなもんか?」
「満足か?」
「何に?」
「どれだけ?」
「それだけ?」
「違うんじゃないか?」
とコメントした人(つまりいまの自分ですが)に千の矢のような質問が返ってくる。
自然と。
これからずっとそういう状態が続くのかはわからないけれど、しばらく続くだろうというのは予想がつく。
これはもはや呪いだと言えると思う。
見城徹の物語は、人を読書の荒野に放り出すだけでなくその荒野の意味を、荒野にいる自分の存在の意味をどこまでも考えさせる呪術的な力がある。
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あるなあ。
でもね、ややこしいんですけどもう上記のような直接的な感動と内容理解の努力だけで満足する訳にはいかないんです。
そういうのはまさに大学時代にやったんで。
そして失敗したんです。永井均さんで。
かぶれてその人を再現しようとしても、私は私なんですよ( ´∀`)hahaha
だめっす。
心から感動するだけじゃ足りないんですよ。
で、感動に突き動かされて本の通り行動するってね。うん。まあ、ありがちです。
啓発本の栄養ドリンク的・マニュアル的な捉え方というかね。
それじゃいかん。バカみたいな就活本じゃないんだから。
これは見城徹さんを見下してるとかちゃんと読んでないとかそういうことじゃない!ぞ!
本を読んで本の通りやったところでそれは見城徹さんだからできたことで、そこには彼の出自や気性やコンプレックスなどなどが複雑に絡み合った原動力があったわけですから!
つまりまずスタートが、違う。
で、見城さんでも永井さんでもイチローでも椎名林檎でもだれでもいいですけど、彼ら彼女らはもう自分を貫き通して自立しきった自分になってそれぞれの分野活躍してるって意味で天才ですから!
つまり終着点・ゴールが、違う。
だから変な言い方で飛躍してますけど、僕は僕の道をゆくしかないんです。僕の天才を見つけるしかない。それは僕の戦いなので誰とも関係がありません。
だからいいんです。
一回感動して、「うん、すげぇおっさんがいるんだな。」と思い直して自分がどうするか考えなきゃならない。
見城徹さんが暗に「俺はこの修羅場を、俺だけの修羅場をくぐってきた。お前もくぐれ。お前の修羅場を。ちょっとだけ読書は役に立つぞ。」といって挑発している、その挑発だけ受け止めればいい。
すごい本には引っ張られるけど敬意も払うけど、最終的には道の脇にある朽ち錆びた看板くらいに思って前を向いて歩かにゃならん。
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で、そう思ったはいいけどやっぱり見城徹本の内容に引きずられるので中和剤に写真の本を読んでます。
大学のときの先生が好きだった作家さんです。
見城徹さんの本に熱狂的に惚れ込んでそのまま実行する人には「なんてやる気が無いんだ!!」と言われそうな内容です(笑)
なんというか、『読書という荒野』と比較するとどこにも力が入ってないように感じられる本です(まあ、ということは別の部分に力が入っているということなのですが)。
大学時代はこの本を読みながら「ビジネスなんて…就活なんて…」と卑屈な思いに浸っていました。
永井さんの本読んでた時もそんな感じあったかもな。
今は違います。
見城さんの本も読めるし、この保坂さんの本、そして永井さんの本も読めるのが自分なんだ、その方向に自分の天才があるんだと思ってます。
じつにややこしく前回の記事と今回の記事全体を総合して考えないと理解不能ですが、今述べた理解の仕方は見城本の前半を読んで得たものなのでやっぱり読書を通じた自己嫌悪自己検証自己否定(と、その極地にある絶対的な自己肯定)は大事なのだと思います( ´∀`)
あーまとまった!
久しぶりにいい読書したーーーー!!
…これでいいのか?(; ・`ω・´)
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