HANA-BI
後ろに写っているのは北野武監督と岸本加世子さんです。
映画、『HANA-BI』のワンシーンです。
なんて美しい映画なんだろう。
すんません、これ酒のブログですよね(笑)
でも、今日は映画について語らせてください。
大学時代のように、語らせてください。
とても美しい映画です。
序盤から一貫して単純な構図、棒読みに近いセリフが続いてゆきます。
内容とは程遠い、素直で単調な人の動き。
しかしその単調さが、すべての複雑さを壊していきます。
人の世の見えない複雑さ、面倒臭さ、美しさを単純な暴力が壊していく。
その潔さ、ストレートさがとても美しい映画です。
早くもちょい脱線ですが、なぜ暴力が美しく見えるのでしょうか?
なぜでしょうね。
たいてい人を傷つけるのにね。
暴力が美しいのは、それが見返りを求めない単純な与える行為だからです。
人の言動というのは、基本的に何かしら他人に自分への寄与を求める行為です。
自然っちゃ自然ですが、よく観察すると鬱陶しい。
一個一個の発言の意図、求める寄与を慮るともう嫌になる。
女の子だったら大学生くらい?
男の子だったら5歳くらい?
相手への探りや「なんか(といいつつ自分の意図したものを)返してほしい」っていう欲がミエミエな言動が増えますね(りょーさけデータベースから)。
そういうやり取りを誰とでもできるようになるってのが社会的な人間になるってことなんだと思うんですけど、でもそういうのって、繰り返していくほどに嫌になりません???
実生活はどこまでもそういったやり取りが続くけれど、映画ってそういう煩わしさがある空間とは別の世界を描いてくれるんだよなあ・・・。
HANA-BIは単純な行動、光景、言葉がその画面を取り巻く人間的な、複雑な事情をぶっ壊していきます。初めっから終わりまで、そんな感じ。
(ネタバレします。これからみたい人ここでとじてね。)
最後は自身の言葉を聞くために全力で奔走したたけしさんに岸本加世子さんが「ありがとう。どめんね。」といった後、銃声が2発聞こえて終わります。
映画全体を取り巻く複雑な事情を、愛する女性の単純な二言が壊す。
その単純な二言で複雑になった観客の心を、二発の銃声が壊す。
単純で、恐ろしくて、美しい。
なんとも下品ですが、新政エクリュと好物をいただきながらこの映画を見れた私は幸せなのではないかと思いました。
ははは、酒なんも関係ないね(笑)
こんな日もいいよね。
そんなふうに思います。
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